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大阪地方裁判所 平成8年(ワ)6854号 判決 1997年5月23日

原告

野上昱雄

ほか三名

被告

株式会社九倉

ほか一名

主文

一  被告らは原告野上昱雄に対し、連帯して金九六〇万六五八二円及びこれに対する平成五年七月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは原告野上史子に対し、連帯して金六四五万三二九一円及びこれに対する平成五年七月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは原告野上達に対し、連帯して金一七三六万二二〇一円及びこれに対する平成五年七月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  被告らは原告武田薬品健康保険組合に対し、連帯して金二六一万六四六七円及びこれに対する平成八年七月一六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

五  原告らのその余の請求を棄却する。

六  訴訟費用は、これを五分し、その三を原告らの、その余を被告らの負担とする。

七  この判決は、第一項ないし第四項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求

一  被告らは原告野上昱雄に対し、連帯して金二五九〇万九一四四円及びこれに対する平成五年七月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは原告野上史子に対し、連帯して金一五二〇万四五七二円及びこれに対する平成五年七月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  被告らは原告野上達に対し、連帯して金四〇九六万五四九八円及びこれに対する平成五年七月一八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  被告らは原告武田薬品健康保険組合に対し、連帯して金二九一万六四六七円及びこれに対する平成八年七月一六日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二事案の概要

本件は、大型貨物自動車が停車中の普通乗用自動車に衝突し、右事故によつて死亡した者の遺族及び傷害を負つた者が、右運転者に対し民法七〇九条に基づき、保有者に対しては自動車損害賠償保障法三条、民法七一五条に基づいて、損害の賠償を求め、更に治療費を支払つた健康保険組合が健康保険法六七条一項に基づき求償を求めた事案である。

一  争いのない事実及び証拠上明らかな事実(以下(  )内は認定に供した主たる証拠を示す)

1  事故の発生 (争いがない)

(一) 日時 平成五年七月一八日午後三時三〇分頃

(二) 場所 滋賀県愛知郡秦荘町松尾寺地先路上

名神高速道路上り線四二四・七キロポスト

(三) 関係車両 被告稲垣一則(以下「被告稲垣」という)運転の大型貨物自動車(北九州一一き三一二三号、以下「被告車」という)

原告野上達(以下「原告達」という)運転、野上圭子同乗の普通乗用自動車(京都三三は六〇〇三号、以下「原告車」という)

(四) 事故態様 中央分離帯に衝突して横転していた貨物自動車との衝突を回避するべくハザードランプを点滅させながら原告車を含む十数台の自動車が停車していたところに、被告車が突つ込み、停車中の各自動車を損壊、炎上させた(以下「本件事故」という)。

2  被告らの責任原因(争いがない)

(一) 被告稲垣は前方不注視のまま時速一二〇キロメートルの高速度で被告車を走行させた過失により、本件事故を起こしたもので、民法七〇九条に基づく責任を負う

(二) 被告株式会社九倉(以下「被告会社」という)は、被告車の保有者であり、自動車損害賠償保障法三条の運行供用者に当たる。また、被告稲垣は被告会社の従業員であり、本件事故は、被告会社の業務の執行中になされたもので、被告会社は自動車損害賠償保障法三条、民法七一五条に基づく責任を負う。

3  野上圭子の死亡(争いがない)

原告車に同乗していた野上圭子(以下「圭子」という)は、本件事故により焼死した。

4  圭子の相続人(争いがない)

原告野上昱雄(以下「原告昱雄」という)は圭子の夫であり、原告達及び原告野上史子(以下「原告史子」という)は圭子の子である。

5  原告達の後遺障害(甲一七、二三)

原告達は、平成七年八月三日、症状固定の診断を受け、自動車保険料率算定会において、自動車損害賠償保障法施行令二条後遺障害別等級表(以下単に「等級表」という)一一級の後遺障害を残すと判断された。

6  損害の填補(争いがない)

(一) 原告らは、圭子の死亡に関し自賠責保険金二四七二万二一〇〇円の支払を受けている。

(二) 原告達は自賠責保険金三三一万円の支払を受けている。

(三) 原告武田薬品健康保険組合(以下「原告組合」という)は、自賠責保険金一二〇万円を受取つている。

二  争点

1  圭子に関する損害額

(原告らの主張額)

(一) 逸失利益 三五八一万一二九四円

計算式 七二九万二八〇〇円(平成四年度賃金センサス産業計・企業規模計・大学卒、女子労働者五〇歳から五四歳までの平均年収)×(一-〇・五)×九・八二一=三五八一万一二九四円

(二) 慰謝料 三九〇〇万円

内訳

(1) 相続分 三〇〇〇万円

(2) 固有の慰謝料原告昱雄、原告史子、原告達について各三〇〇万円

本件が被告稲垣の一方的過失によるものであることことから右金額が相当である。

(三) 遺体処置及び搬送費用 一七万九七三五円

(四) 葬儀費用 一五四万九三六〇円

(一)、(二)の(1)、(三)、(四)の合計額は六七五四万〇三八九円であるところ右金額から前記損害填補額二四七二万二一〇〇円を差し引いた四二八一万八二八九円について、原告昱雄は、その半額である二一四〇万九一四四円及び(二)(2)の三〇〇万円の合計二四四〇万九一四四円及び(五)相当弁護士費用一五〇万円の総計二五九〇万九一四四円並びにこれに対する本件事故日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める。

原告史子は四二八一万八二八九円の四分の一である一〇七〇万四五七二円及び(二)(2)の三〇〇万円の合計一三七〇万四五七二円及び(五)相当弁護士費用一五〇万円の総計一五二〇万四五七二円並びにこれに対する本件事故日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める。

2  原告達の損害

(一) 治療費(自己負担分) 二八六万四五四〇円

内訳

(1) 山口病院 九二万三一一〇円

(2) 内田病院 一九三万九三六〇円

(3) 京都赤十字病院 二〇七〇円

(二) 文書費 二万四三三〇円

(三) 入院雑費 一二万七四〇〇円

計算式 一三〇〇円×九八日=一二万七四〇〇円

(四) 入院付添費 四九万円

計算式 五〇〇〇円×九八日=四九万円

(五) 通院交通費 一〇万六二四〇円

(六) 装具代を含む医療関係費 三一万九七九三円

(七) コンタクトレンズ代 三万六七七一円

(八) 逸失利益 一九九〇万一八五二円

計算式 四四六万三七〇〇円(平成四年度賃金センサス産業計・企業規模計・大学卒、男子労働者二五歳から二九歳までの平均年収)×〇・二×二二・二九三=一九九〇万一八五二円

(九) 入通院慰謝料 一八〇万円

(一〇) 後遺障害慰謝料 三四〇万円

よつて、原告達は、(一)ないし(一〇)の合計二九〇七万〇九二六円から損害填補額三三一万円を差し引いた二五七六万〇九二六円及び前記二1記載の原告史子と同額の一三七〇万四五七二円の総計三九四六万五四九八円及び(一一)相当弁護士費用一五〇万円の総計四〇九六万五四九八円及びこれに対する本件事故日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める。

3  原告組合の損害

(原告組合の主張)

原告組合は、原告昱雄が加入する健康保険組合であるが、その被保険者たる原告達が本件事故によつて蒙つた傷害に関する治療費として、以下の金員を支払つた。

(一) 山口病院 六一万七四〇〇円

(二) 内田病院 三一九万一六九六円

(三) 京都第二赤十字病院 四八三〇円

(四) 伊佐早医院 二五四一円

よつて、原告組合は(一)ないし(四)の合計三八一万六四六七円から損害填補額一二〇万円を差し引いた二六一万六四七六円並びに(五)相当弁護士費用三〇万円の総計二九一万六四六七円及びこれに対する被告会社への訴状送達の日の翌日である平成八年七月一六日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める。

第三争点に対する判断

一  争点1(圭子に関する損害額)について

1  逸失利益 一九七五万五五三〇円

(主張三五八一万一二九四円)

証拠(甲二、二二、原告昱雄本人)によれば、圭子(昭和一四年四月一二日生)は、事故当時五四歳の健康な女性であり、原告昱雄、原告史子、原告達、原告昱雄の父親の五人家族の家庭で主婦業を営んでいたことが認められる。右事実によれば、圭子は平成五年度賃金センサス産業計・企業規模計・学歴計、女子労働者五〇歳から五四歳までの平均年収三三五万二六〇〇円に見合う労働をしていたことが認められる。

そこで、右年収を基礎とし、その生活費割合を四割、就労可能年齢を六七歳とみて、ホフマン方式により、逸失利益を算定すると右金額が求められる。

計算式 三三五万二六〇〇円×(一-〇・四)×九・八二一=一九七五万五五三〇円(円未満切捨、以下同様)

なお、原告らは圭子の逸失利益算定の基礎収入を大学卒の平均賃金におくべきことを主張しているが、主婦としての稼働能力と学歴との関連は薄いから、右主張は採用しない。

2  死亡慰謝料 二四〇〇万円

(主張三九〇〇万円)

2認定の各事実、即ち圭子が一家の主婦であること、本件事故に関し全く落度がないこと、焼死という悲惨な状況で死亡したこと等本件審理に顕れた一切の事情を考慮して相続分として一五〇〇万円、原告昱雄、原告史子、原告達について各固有の慰謝料として三〇〇万円を認めるのが相当である。

3  遺体処置料及び搬送費用 一七万九七三五円

(主張同額、甲一六の1)

本件事故と相当因果関係がある損害であり、弁論の全趣旨により各原告が相続分に応じて負担したものと認める。

4  葬儀費用 一二〇万円

(主張一五四万九三六〇円)

本件事故と相当因果関係がある葬儀費用は一二〇万円であり、弁論の全趣旨により各原告が相続分に応じて負担したものと認める。

二  原告達に関する損害額

1  認定事実

証拠(甲三の1、2、四の1ないし3、五の1ないし24、六の1、2、七、一七、二二、二三、検甲二の1、2、三の1ないし5、四の1ないし3、五、六の1ないし4、七の1、2、八の1ないし3、九ないし一一、原告達本人、原告昱雄本人)によれば次の各事実を認めることができる。

(一) 原告達(昭和四四年八月二〇日生、当時二三歳)は、大阪府立大学大学院一年生であつたが、本件事故により、全身の三六パーセントに及ぶ深度Ⅱ度の熱傷、熱傷後斑痕拘縮、腱損傷、右足異物混入の傷害を負い、

(1) 事故当日である平成五年七月一八日から同月二九日まで山口病院に入院し、

(2) 右同日内田病院に転院し同年一〇月二日まで同病院に入院し、

(3) その後、平成六年八月一一日から同月一九日まで、同年一二月一五日から同年一二月二六日までの各期間、内田病院に入院し、

(4) 右各入院期間を除き平成七年八月三日まで内田病院に通院し(実通院日数四八日)、

(5) また京都第二赤十字病院及び伊佐早病院に通院した(実通院日数各二日、一日)。

原告達は山口病院に入院中、全身を繃帯に包まれ、身動きできず、当初は生命も危ぶまれる状況であつたもので、右入院期間及び内田病院に転院後においても連日、一時間余りをかけて繃帯の取り替えを受けた。

原告達は山口病院に入院中の平成五年八月五日、同年九月二日、同月二七日の三回に亘り、皮膚移植等の手術を受け、前記平成六年八月一一日から同月一九日まで、同年一二月一五日から同月二六日までの各入院期間においても手術を受けた。

(二) 原告達は、平成七年八月三日、症状固定の診断を受け(症状固定時二五歳)、その際に顔全体に及ぶ醜状痕、開口障害、唇口角の硬化、両足の拘縮、軽度運動障害、右手背から右肘にかけての回外、回内障害、両手の醜状痕が存し、自動車保険料率算定会において、<1>顔面、<2>右上肢から右手、<3>左上肢から左手、<4>右大腿部、<5>左大腿部、<6>腹部、<7>腰部の各醜状痕を併合して等級表一一級相当の後遺障害を残すと認定された。

(三) 原告達は、事故当時、大阪府立大学大学院一年生であつたが、平成六年四月に復学し、一年間だけで卒業単位を取得し、論文を完成させて、平成七年三月大学院を卒業し、同年四月石川島播磨重工業株式会社に就職し、現在、同社船舶海洋事業本部に所属し、商船の基本設計業務に携わつている。

前記、右手背から右肘にかけての回外、回内障害は原告達の、設計の仕事に支障を及ぼしていない。現在の業務及び将来的に配属の可能性がある詳細設計部門、現場の工程管理部門において、設計担当者が顧客に面接することがあり、また外洋航海の機会もあるが、医師から「太陽に当たると皮膚ガンにかかる虞れがある。」と言われていることから、原告達は将来に不安を覚えている。

2  判断

(一) 治療費 二八三万九二〇〇円

(主張二八六万四五四〇円)

内訳

(1) 山口病院 九二万三一一〇円

(甲八の1、2)

(2) 内田病院 一九一万四〇二〇円

(甲九の1ないし56、但し、新聞代・電話代を除く)

(3) 京都第二赤十字病院 二〇七〇円

(甲一〇の1、2)

(二) 文書費 二万四三三〇円

(主張同額、甲一二の1ないし3)

(三) 入院雑費 一二万七四〇〇円(主張同額)

1において認定したように原告達は九八日間入院し、一日あたりの入院雑費は一三〇〇円と見るのが相当であるから総額は右金額となる。

計算式 一三〇〇円×九八日=一二万七四〇〇円

(四) 入院付添費 三〇万八〇〇〇円

(主張四九万円)

証拠(甲二二、二四の1ないし5、原告昱雄本人)によれば原告達の平成五年一〇月二日までの入院期間中、原告史子及び親戚の者が交代で付添看護をしたことが認められる。医師の要付添の証明はないものの、前記原告達の症状、付添状況に照らすと右入院期間においては、一日四〇〇〇円の割合で付添費を認めるのが相当である。

計算式 四〇〇〇円×七七日=三〇万八〇〇〇円

(五) 通院交通費 一〇万六二四〇円

(主張同額、甲一三の1、2)

(六) 装具代を含む治療関係費 一万三七四〇円

(主張三一万九七九三円、甲一一の3の1、2)

原告達はガーゼ、タオル代等の購入費を請求しているが、これらが病院からの支給ではまかなえなかつたという証明がなく、本件事故と相当因果関係が肯定できるのは装具代一万三七四〇円にとどまる。

(七) コンタクトレンズ代 〇円

(主張三万六七七一円)

証拠(原告達本人)によつても、コンタクトレンズがいつどこで紛失したものであるか確定できないので、これは被告らに負担させるべき相当因果関係のある損害とは認められない。

(八) 逸失利益 〇円

(主張一九九〇万一八五二円)

原告達の火傷の跡は、両目を除く顔面全体、人目に触れる両手にわたる重大なものであるが、原告達は現在、安定した会社においてデスクワークに就いていることから、右醜状が直接仕事に支障を及ぼすことはなく、右後遺障害が減収を招いたり、昇進、昇格の遅れの事由となる虞れは少ないと認められる。原告達の逸失利益の請求は認められず、対人関係・健康面で原告達の抱く不安は現在の心理的苦痛として評価し、慰謝料算定にあたり充分斟酌すべく、かつこれをもつて足りるものと解する。

(九) 慰謝料 一〇〇〇万円

(主張五二〇万円)

原告達の傷害の部位・内容・程度、入通院期間・状況、後遺障害の内容、程度の他、原告達が治療中であつたにも拘わらず、並外れた努力で大学院を卒業したもので、その間の精神的・肉体的苦痛は大きかつたことが推察され、このことが同時に、休業損害が発生しなかつたことに見られるように被告らの賠償額を減少せしめる要因となつたこと、本件事故につき全く責任がないこと等、本件審理に顕れた一切の事情を考慮して右金額をもつて慰謝するのが相当である。

三  争点3(原告組合の損害)について

証拠(甲一八、原告昱雄本人)によれば、原告組合は、原告昱雄が加入する健康保険組合であるが、その被保険者たる原告達が本件事故によつて蒙つた傷害に関する治療費として、以下の金員計三八一万六四六七円を支払つたことが認められる。

(一)  山口病院 六一万七四〇〇円

(二)  内田病院 三一九万一六九六円

(三)  京都第二赤十字病院 四八三〇円

(四)  伊佐早医院 二五四一円

第四賠償額の算定

一  第三の一の1、2のうちの相続分、3、4の合計は、三六一三万五二六五円である。これから第二の一の6(一)の損害填補額二四七二万二一〇〇円を減じると、一一四一万三一六五円となる。

二  原告昱雄に対する賠償額

1  一の金額に同原告の相続分二分の一を乗じ、第三の一の2において認定した同原告の固有の慰謝料三〇〇万円を加えると八七〇万六五八二円となる。

計算式 一一四一万三一六五円÷二+三〇〇万円=八七〇万六五八二円

2  1の金額、事案の難易、請求額その他諸般の事情を考慮して、同原告が訴訟代理人に支払うべき弁護士費用のうち本件事故と相当因果関係があるとして被告らが負担すべき金額は九〇万円と認められる。

3  よつて、同原告の請求は、1、2の合計九六〇万六五八二円及びこれに対する本件事故日である平成五年七月一八日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

二  原告史子に対する賠償額

1  一の金額に同原告の相続分四分の一を乗じ、第三の一の2において認定した同原告の固有の慰謝料三〇〇万円を加えると五八五万三二九一円となる。

計算式 一一四一万三一六五円÷四+三〇〇万円=五八五万三二九一円

2  1の金額、事案の難易、請求額その他諸般の事情を考慮して、同原告が訴訟代理人に支払うべき弁護士費用のうち本件事故と相当因果関係があるとして被告らが負担すべき金額は六〇万円と認められる。

3  よつて、同原告の請求は、1、2の合計六四五万三二九一円及びこれに対する本件事故日である平成五年七月一八日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

三  原告達に対する賠償額

1  一の金額に同原告の相続分四分の一を乗じ、第三の一の2において認定した同原告の固有の慰謝料三〇〇万円を加えると五八五万三二九一円となる。

計算式 一一四一万三一六五円÷四+三〇〇万円=五八五万三二九一円

2  第三の二の2の合計は、一三四一万八九一〇円である。これから第二の一の6(二)の損害填補額三三一万円を減じると、一〇一〇万八九一〇円となる。

3  1、2の合計は一五九六万二二〇一円となる。

4  3の金額、事案の難易、請求額その他諸般の事情を考慮して、同原告が訴訟代理人に支払うべき弁護士費用のうち本件事故と相当因果関係があるとして被告らが負担すべき金額は一四〇万円と認められる。

5  よつて、同原告の請求は、3、4の合計一七三六万二二〇一円及びこれに対する本件事故日である平成五年七月一八日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

四  原告組合に対する賠償額

1  第三の三の合計は三八一万六四六七円である。

2  1の金額から第二の一の6(三)の損害填補額一二〇万円を減じると二六一万六四六七円となる。

3  同原告請求の弁護士費用は本件事故と相当因果関係がある損害とは認められない。

4  よつて、同原告の請求は、2の二六一万六四六七円及びこれに対する被告会社への訴状送達の日の翌日たる平成八年七月一六日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

(裁判官 樋口英明)

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